重量の割に踏み出しはそれほど重くなくスルスルと進んでいきます。ペダリング効率も5〜6回乗ってみて全て以前より2%程度高かったです。(先日の走行会のデータ:3時間の効率55.2%)
他のホイールでは絶対に得られないフィーリングは乗っていて楽しいし、「前例を究極の技術で覆す」というアプローチは非常に面白いです。経験則だけでは新しいものは作れませんからね・・・
ただ自転車は人間というとても不均一で不規則で曖昧なものが操作して、これまた条件が刻々と変わる道路の上を走るものなので、条件を数値化するのが非常に難しいものでもあります。
高い技術を、高いフィードバック能力を持って使い込んでトライ&エラーを繰り返さないと本当に良いものを作れないと思います。
GOKISOホイールを実際に使ってみるまで、腑に落ちないのは「転がり抵抗」へのアプローチでした。
ホイールやタイヤは転がる時に、常に体重やペダリングのトルクを受けて弾性変形と復元を繰り返していますよね。

変形によって接地面積ができて摩擦が発生するからこそホイールの回転運動が自転車全体の推進運動に変わるわけですが、この変形量が大きい(すなわち柔らかい)、あるいは材質の差によって変形時のエネルギーロスが大きかったりすると、変形・復元を繰り返す間のエネルギーロスによって走行抵抗が大きくなります。
よくホイールやタイヤメーカーの「転がり抵抗の軽減」という謳い文句を見ると、変形量をなるべく小さくして回転方向の転がり抵抗を抑えようとしているのが分かります。
路面が平面均一、ペダリングも均一な回転運動、無風でまっすぐ走るだけ、というのならそれで間違いなく少ない抵抗で走れるのですが、実際に道路を走ると路面は凸凹、ペダリングモニターを見るまでもなくぺダリングはガチャガチャ、横から強い風は吹くしコーナーを曲がったりブレーキングしたりと、様々な動きをして外力も掛かります。
変形量が少なすぎるホイールやタイヤはこういった回転方向以外の力に対する「逃げ」も少なくなるため、荒れた路面で跳ねる、振動が吸収できず疲れる、など操作する人間にとって数値化できないストレスが掛かる場面が出てきます。

また、GOKISOではリム重量が重くても剛性を優先させて転がり抵抗を減らすことを良しとしていますが、自転車を前に進ませる際の慣性、ホイールを回転させる慣性モーメントいずれも重量に比例する以上なるべく重量は軽いほうが良いはずです。
最も大きな抵抗である空気抵抗だけは重量には比例せずに前面投影面積に比例するので、平坦や下りの直線路を一人で走るような場面ではスピードの落ちにくさを感じるかもしれませんが、登り、コーナーでのブレーキング、集団走行など減速・推進を繰り返すほど、軽いホイールと比べてロスが大きくなっていくはずです。
軽すぎるリムも慣性が小さい以上、横風で挙動が不安定になったり良いことばかりではありませんが。
今回GOKISOに実際に乗ってみて長い登りはこなしていないのでタイムの比較等できていませんが、走行会での登りでは思ったほど走りの重さを感じなかったです。コーナーの立ち上がりでも踏み出しが重い感覚もあまり無く。スペックから想像していた感覚とこれほど違うホイールは正直初めてでした。
ただし、横方向への動きの重さはどうしても気になるんですよね。ホイールバランスを調整しても変わらず、コーナーで横剛性の無さを感じることもなかったので、リムの重さによる部分が大きいと思います。
GOKISOには50mmハイトのチューブラーも有り、ラインナップ中リム重量が一番軽いので是非試してみたいです!
驚くほど高価ですがハブは10年保証が付き、リム交換にも対応してもらえるなど耐久性を考えると物欲が・・・。
フロント20H、リア24Hと一般的な穴数なので自分で好きなリムに組み替えることもできますしね。